KYO:004

交響曲《明治頌歌》
Sinfonia“Inno Meiji”

演奏時間:20'00''
編成:Picc. - 2 Fl.- 2 Ob. - E.hrn. - 2 Cl.in A(in Bbに持ち替え) - Bass Cl.in Bb - 3 Bn. - 4 Hrn in F - 4 Trp.in A(in Bbに持ち替え) - 3 Trb.- Tuba. - Timp. - Snare Drum - Bass Drum - Cymbal - Triangle - Tam-tam - Furisuzu (振り鈴)- Talacon※ - 5 Strings - Hichiriki(篳篥)
レンタル使用料:60,000円(税別)
ミニチュアスコア(販売):1,800円(税別)

[楽曲解説]

 1921年に作曲され5月1日に初演された後、山田耕筰の代表作としてベルリン、ロンドン、モスクワなどでも演奏され、1937年には作曲者自身の指揮でベルリン・フィルとの録音も残した。西洋音楽と日本の伝統音楽との融合という、現在でもよく聞かれるコンセプトを山田耕筰は早くから提唱し、自作において様々な試みを行っていたが、この作品ではオーケストラに初めて和楽器の篳篥をフィーチャーしたほか、サウンドにおいても様々な趣向を凝らしている。まず冒頭では6群に分けられたヴァイオリン群が笙の響きを模し、そこに振り鈴などがサワサワ…とクレシェンドする。そこでの空気感はまさに雅楽そのものであり、非常に緻密且つ優れたスコアリングがなされている。楽曲は交響曲という冠が付されているが、開国〜幕末の争乱〜文明開化(西洋文明の吸収)〜明治天皇崩御〜日本と西洋文明との真の融合、といったいくつかのシーンを持つ交響詩のような構成になっている。楽曲自体にタイトルは付されてはいないが、山田の描写力の妙と優れたオーケストレーションによって、時代のひだのようなものが明解に浮かび上がってくる。それは作曲されてから80余年過ぎた現在においても全く色褪せることなく、新鮮な響きを内包しており、今後ぜひとも普及させたい1曲である。アマチュア・オーケストラでの演奏ももちろん、海外公演などの演奏に最適な作品。尚、作曲者自身によって「篳篥が調達できなかった場合は2本のオーボエにて演奏する」という指示がされている。
 自筆譜は既に失われており、現在残されているのは1937年にベルリンで筆写されたスコア、1960年に第一法規出版の全集製作のための原稿用に新たに作成された筆写総譜、1960年版のスコアに基づくパート譜などである。ただし、1960年版の資料は誤りが多いために参考資料としての活用のみにとどめ、1937年版の筆写スコアを底本に作成した。1937年版には作曲者自身が、ベルリンフィルとの演奏において、書き込まれたものと思われる鉛筆書きの修正、注意書きなども見受けられ、できるだけ作曲者の肉声が反映された形の版を作成した。更に2005年の日本楽劇協会主催のコンサート「山田耕筰の遺産〜『日本の交響楽を求めて』」において湯浅卓雄指揮、東京都交響楽団によって演奏され、スコア、パート譜ともに細部に至るまで入念の校正を施すことができた。尚、同コンビにおいてNAXOSレーベルにレコーディングもされた(NAXOS:8.557971J)。


※Talacon(タラコン)について
 交響曲『明治頌歌』にはTalacon(タラコン)という打楽器が使用されています。 現在この楽器についての資料はほとんどなく、現在の所「アジアに源流をおく竹製の打楽器で、夜明けなどを喚起させるような響きがする」というところまでしか判明していません。次いで推測の対象となったのは作曲者の記譜がオクターヴ、もしくは同音のトレモロでされていること。ここから複数の音高があることが想像されます。これらの情報を元に2005年の「山田耕筰の遺産」コンサートでは指揮者の湯浅卓雄氏、東京都交響楽団の打楽器奏者諸氏らとの討議の結果、太さ(長さ)の違う2種類の竹(写真参照)を並べ、マリンバのマレットで演奏しました。
 この奏法はTalaconの一つの代用例であり、演奏に際しての参考にして頂ければと思いますが、演奏法はこの他にも考えられると思いますので、それぞれ独自にお考えになってもよろしいかと思います。尚、1937年に作曲者の指揮でレコーディングされたベルリン・フィルの演奏ではTalaconは使用されていません。
 この楽器についてより詳しい情報をお持ちの方はぜひお知らせ下さい。


問い合わせ後の流れや送料などについては申込についてをご覧ください。

このサイトは(株)クラフトーンが運営サポートしております。ご質問等は下記メールアドレスまでお願いします。

koscak@craftone.co.jp